助成実績

助成事業 2023年度 選考総評

財団の研究助成事業、初年度の選考等を終えて


公益財団サロン・ド・K財団は、本年度から新事業として大阪の若い研究者への研究助成を開始しました。5月から7月10日までの募集期間に、計19件の応募がありました。1次審査、2次審査を経て、3人の助成対象者を選考し、10月には、助成金を交付しました。

当財団では初めての経験でしたが、ご尽力いただいた方々のおかげで募集から選考、交付まで、滞りなく進めることができました。関係者の皆様に心から感謝します。

以下に、今年度の助成事業の印象を述べます。

先ず、19件の応募の申請書から、申請者の方々の研究への情熱が感じられ、本助成事業の意義を再確認しました。全体として、メディカル系が多い、大学所属が多い、申請書を書き慣れている方が多い、既に研究実績のある方が多い、等の印象を受けました。

当財団の助成事業の趣旨の特徴は、HPに記載の通り、研究テーマの多様性を高めることと、研究費を得ることが難しい環境の方々を対象にすることですから、選考にあたっては、研究テーマの“独創性”、“新規性”などの他に “当財団助成事業の趣旨への適合度” も評価しました。

次回からは、助成事業のアナウンス送付先を、大学や研究所だけではなく、各種の文化施設等にも拡大する予定です。それによって、より広いテーマを追求されている研究者からの応募を期待しています。

以上

2023年10月31日
公益財団法人 サロン・ド・K財団 理事会

サロン・ド・K財団 研究助成事業  2023年度


助成対象者、研究テーマ 及び 助成金交付金額 (申請書受付順)

助成対象者 : 辻岡  洋 氏  35 歳  

所属 : 大阪大学大学院医学系研究科、准教授

研究テーマのタイトル : メダカ近縁種の脊髄再生能比較  

交付金額 : 100万円

研究内容の概説

組織の再生能は、一般に体制の単純な生物ほど高く、ヒトを含む哺乳類では再生能が低い傾向がみられる。進化的に有利なはずの再生能が進化に伴って喪失したのかについては、再生生物学の最重要課題の一つであると同時に、中枢神経系等ヒトでは再生しない組織の損傷に対する治療法の開発につながる可能性がある。進化に伴ってどのように再生能が失われるのかを明らかにするには、再生能が異なり、進化的に近縁で、遺伝学的に操作可能な種で検証する必要がある。本研究では、これまでの知見から、メダカにごく近縁な種で再生能低下の進化的イベントが生じた可能性があるため、メダカ近縁系をモデルとして、再性能と相関して発言変動する遺伝子を同定する。脊椎動物のゲノム解析が進む中、ゲノムの中のどの配列の変化でもたらしたのかを高い解像度で推測することができ、最終的には1塩基レベルでこの変異を証明できるようになる。

助成対象者 : 北山 雄己哉 氏  37歳

所属 : 大阪公立大学大学院 工学研究科 物質化学生命系専攻 応用化学分野

研究テーマのタイトル : 海洋マイクロプラスチック問題の解決に貢献する高分子微粒子材料の開発

交付金額 : 100万円

研究内容の概説

自然界で分解されにくい非分解性高分子微粒子(一次マイクロプラスチック)については、海洋汚染防止の見地から既に欧州で使用制限が課され、我が国化粧品業界でも自主規制されている。高分子微粒子の需要は拡大傾向にあり、生分解性高分子微粒子材料の市場は今後急成長すると予想されている。本研究では、「界面光架橋反応」に適応する光反応性ポリエステル(酵素分解性や加水分解性を示す)を逐次重合法により合成し、中空粒子やカプセル粒子などの構造的機能化された新たな分解性高分子微粒子材料の創出技術の確立を目指す。

助成対象者 : 土井 俊央 氏  35歳

所属 : 大阪公立大学 生活科学研究科 講師

研究テーマのタイトル : UXデサインのためのユーザの体験価値評価メカニズムの解明
           副題 : 製品利用時の時間軸に着目した分析

交付金額 : 50万円

研究内容の概説

魅力的な製品を生み出すには、ユーザが利用体験(UX)全体を通じて得る体験価値を起点としたUXデザインが求められる。現状は、ユーザが製品と関わる時間軸の中でどういった体験で体験価値が向上し満足感が醸成されるかという体験価値評価メカニズムに関する知見が乏しく、効果的なデザイン開発ができているとは言い難い。本研究は、4つのUX(一時的UX、エピソード的UX、予期的UX、累積的UX)に分ける一般的な捉え方に即し、予期的UXと累積的UXについて知見を拡大し、科学的根拠に基づくより効果的で属人性の小さいUXデザインアプローチの実現に寄与することを目的とする。

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